問題解決の1つとして、フェアトレードに取り組む

株式会社プレス・オールターナティブは、社会の問題解決を事業にしようと1985年に設立・創業し、翌年日本で初めてフェアトレードを事業にする「第3世界ショップ」を立ち上げました。

「第3世界ショップ」という名称は、1955年にインドネシアのジャワ島で開かれた有名なバンドン会議で、米ソの冷戦下における「第三極(二大勢力に割って入る勢力)としての第三世界」を呼びかけたことからきています。この言葉には多様性を認め合うこと、これまでにない新しい選択肢をという想いがこめられています。

その後、当社では現在に至るまで世界各地の生産者パートナーと協働して、環境に配慮した商品の開発や生産技術の向上、生産物の品質向上に取り組んできました。生産者から適正な価格で継続的に生産物を購入することで生産者の暮らしが安定し、共に未来を設計することができます。それがよりよいモノづくりにつながり、地域に誇りも生まれていきます。

「コミュニティトレード」で生産者パートナーと向き合う

持続可能なフェアトレードと顔の見える関係のために

フェアトレードとは一般的に、「途上国で作られた作物や製品を、適正な価格で継続的に購入することで、生産者の生活水準の向上や、貧困問題の解決を目指す貿易の仕組み」と言われています。

私たちは生産者パートナーと直接対話する「顔の見える関係」を築き、栽培方法や生産過程を明らかにすることはもちろん、私たち自身が生産者の取り組み姿勢や信念に共感できるかどうかを最も大切にしています。

お互いに共感することができれば信頼関係は長く続きます。実際に当社では30年以上お付き合いのある生産者パートナーもいて、そこでは世代交代も始まっています。例えば、スリランカでスパイス製品づくりを通して地域の発展に取り組むマリオさんは息子のシェランさんへ、台湾で持続可能な茶づくりを続ける林文経(リン・ウェンチン)さんは息子の林和春(リン・ホウチュン)さんへ、フィリピンで地元に若い人が残るようにと、紙製品を生産する事業を興したロレッタさんは息子のニールさんへ。

「コミュニティトレード」で生産者パートナーと向き合う

生産者パートナーの事業は次世代に受け継がれ、当社は今も変わらず熱い気持ちで彼らとお付き合いを続けています。

フェアトレードからコミュニティトレードへ

出会いに恵まれた私たちの生産者パートナーは実に多様で、何か一律の条件で選んできたわけではありません。その中で生産者パートナーとは困難な問題に対してお互いに知恵を絞り、厳しく議論しながら関係を深めてきました。その過程を振り返ると、いわゆる一般のフェアトレードの定義には当てはめ切れない活動になっています。

生産者パートナーとはお互い切磋琢磨して成長していく対等な仲間であり、当社から一方的な支援をする関係とはちがいます。また、解決すべき問題は貧困だけではありません。環境破壊、地域の過疎化・高齢化、後継者難、伝統的な文化や技術の喪失など、世界共通の問題に私たちは生産者パートナーと共に向き合っています。

例えば、スリランカのマリオ親子は、スリランカを世界一の品質を誇るスパイス基地にしたいと、スパイス製品を作り、従業員には手厚い福利厚生を整え、スパイス農家の自立支援も行っています。

台湾の林(リン)親子は、「食べ物を作る」という尊い仕事を持続可能な方法で残したいと、お茶づくりには農薬を使用することが常識だった時代から、無農薬・無化学肥料での栽培を続けてきました。

「コミュニティトレード」で生産者パートナーと向き合う

フィリピン、ミンダナオ島で紙製品を作るロレッタ親子は、田んぼの雑草を紙製品にする事を思いつき、雑草の有効活用と地元の雇用を両立させています。

また、国内では山口県宇部市にて、耕作放棄地のお茶園を引き継ぎ、(特定非営利活動法人)学生耕作隊が運営を行っています。彼らは農業を通じて、地域が自立する仕組み創りを目指し、自給自足の暮らしと山の素材を活かした仕事創りに取り組んでいます。

このように、私たちの国内外の生産者パートナーは各地で、自分たちの地域・仕事・人生に誇りをもち、社会に役に立つ事業を継続しています。

フェアトレードという言葉では、このような多様な活動を表しきれないので、国内外を問わず、「地域の困った!の声を、地域の人たちと一緒に事業化することで問題を解決する」活動を私たちは「コミュニティトレード」と呼んでいます(フェアトレードはコミュニティトレードに含まれます)。

「コミュニティトレード」で生産者パートナーと向き合う

もっと広く知ってもらうために

当社では、様々な障がいを持つ方のイラストを採用したコラボ商品「Artisanシリーズ」を2019年から発売しています。

「コミュニティトレード」で生産者パートナーと向き合う

生産者パートナーから届く自慢の食品やその魅力をもっとたくさんの人に知ってもらいたいと、パッケージには福祉施設/アトリエ 「嬉々!! CREATIVE」の個性的なアーティストたちが手がける、ポップでキュートなデザインを使用しています。
この可愛いパッケージを入口に、これまで当社を知らなかった人に手に取ってもらえるようになり、更に国内の様々なハンディキャップを持った人たちの仕事づくりにつながりました。

また、私たちの活動を知ってもらうための情報発信もしています。公式ホームページには生産者パートナーのお話や、コラムを掲載し、公式インスタグラムでは生産者パートナーの訪問記なども紹介しています。
さらに2022年からは不定期で、オンライントークイベントを開催し、生産地の今をお伝えしています。

創業から38年間(2023年現在)、様々な問題解決に向き合い、挑戦を続けてきました。うまくいかなかったことも沢山ありますが、目の前にある問題に取り組み続けてきたからこそ、今があります。
私たちに出来ることは限られているかもしれませんが、1つ1つを積み上げ、伝え続けることを、これからも続けていきたいと思います。

株式会社プレス・オールターナティブ

1985年創業、1986年から、日本で初めてフェアトレードを事業にする「第3世界ショップ」を立ち上げた。
フェアトレードやオーガニックのコーヒー・紅茶・チョコレート・ドライフルーツ・ナッツや菓子類など原材料・製法にこだわった食品と、伝統工芸や地域に根付く手仕事の文化を大切にしたフェアトレードの雑貨類を販売している。

 

「コミュニティトレード」で生産者パートナーと向き合う