これまでの活動を教えて下さい

私は以前、マーケティング業界で事業を展開しており、クライアントの商品企画に携わる中で、製品がどうして低価格で提供可能なのかという疑問に直面しました。この疑問が、フェアトレードとの取り組みをスタートさせるきっかけとなりました。

当時は日本国内では答えを見つけることができず、世界を旅して貧富の格差や搾取、極度の貧困を目の当たりにし、途上国を支援するとともに、これらの実態を一般消費者に知ってもらうことの重要性を痛感しました。その結果、フェアトレード事業を立ち上げ、私が経験したことを伝え、新しい消費行動を促すことに専念することを決意しました。

フェアトレードから学ぶこと

しかしながら、当初はフェアトレードや新しい価値観に対する社会の理解が乏しく、企業や消費者からの支持を得ることは困難でした。この時期、国際NGOオックスファムの日本での活動に貢献しましたが、NGOの活動だけでは企業や消費者の意識を変えることは難しいと感じ、2006年に自ら企業を設立し、フェアトレード商品の価値を創造し、広めることに努めました。

現在では、ブラジル、コロンビア、インド、カンボジア、ベトナム、インドネシアなど、約6カ国からフェアトレード製品を輸入し、日本で販売しています。

 

いま取り組んでいる・注力していることは

大阪の阪急百貨店梅田本店に「Love&Sense」というフェアトレードセレクトショップを構え、フェアトレード製品を通じて新しい価値観を提案しています。この取り組みは、フェアトレードを単なるチャリティーや寄付とは異なる、新たなビジネスモデルとしての可能性を探求するものです。

フェアトレードから学ぶこと

選りすぐられた商品は、生産者との密接な協力のもと、共同でデザインされ、消費者に喜ばれる品質と魅力を兼ね備えています。例えば、ブラジルのプルタブを再利用したバッグや、タグア椰子から作られたアクセサリーなど、品質とデザインに優れたフェアトレード商品を取り扱っています。

フェアトレードから学ぶこと

POPUPイベントや講演会を通じて、フェアトレードの背景にあるストーリーを伝え続け、多くの企業や個人がエシカルな行動を取り入れるきっかけを提供しています。また、フェアトレードに関する国際会議に参加したり、生産者が先進国で持続可能な取引を行うため、品質管理・デザイン・日本における商習慣などのアドバイスも行っています。

 

今後の構想・取り組みたいこと・野望などは

2015年からは、京都市と共にサステナブルな社会構築のための人材育成に取り組んで来ました。今後は、企業へのアプローチを強化し、フェアトレードの価値を伝え、企業がエシカルな行動をビジネスに組み込むことの重要性を強調し、改善策や革新的なアイデアを提案することで、新たなビジネスチャンスを創出することを目指します。

SDGsへの認識は広がっていますが、それを自分事として捉えている人はまだ少ないです。

エシカルなライフスタイルの普及を通じて、持続可能な地球の未来に貢献することが私のライフワークでもあり、大きな目標です。フェアトレード事業を通じて得た経験を活かし、より良い未来を目指す皆さんと共に歩んでいきたいと考えています。

高津 玉枝

株式会社福市 代表取締役
一般社団法人イノベーション・キュレーター協会 代表理事

「持続可能な社会のために行動する人を増やす」をミッションに2006年に設立。主にフェアトレードの普及に取り組み、セレクトショップLove&senseを阪急うめだ本店に出店。東北支援プロジェクトEAST LOOPを創出。15年からは京都市イノベーション・キュレーター塾の塾長。国際NGOの理事など歴任。フェアトレードタウンを認定する
一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム(FTFJ)の理事も務める。

 

 

フェアトレードから学ぶこと