新しい資本主義の仕組みを考える

私たちの豊かな暮らしは、戦後1955年に始まる高度経済成長期に支えられ、資本主義に基づくビジネスにより様々な面で社会が発展しました。しかし、大量生産・大量消費による利益を得るため、地球資源や労働者である「ヒト」が安く消費され、地球上の様々な課題が悪化してしまう構図が出来上がったのです。

戦後約80年となる現在、ブロックチェーン技術を基盤とするWeb3の台頭で、これまでの資本主義にも変化の兆しが訪れました。それらはビジネス面にも影響を与え、サステナブルな生き方や働き方が問われ始めました。

買い物という消費行動を、社会課題解決に繋げる

(イメージ画像)

その一方で、私たちが考えるべきは「消費」の在り方です。58年頃、世界人口が100億を突破すると予想される中、生産の仕組みを変えようと努力するだけでは、とても間に合いません。

同時に見直すべきは、日本では末端扱いされてしまう第一産業、モノづくりの在り方です。本来は、クリエイティブに特化していることで、よりフォーカスされるはずです。インドなどクリエイティブの価値に気づき、モノづくりの地位が高いという国もあります。

そこで私が考え、作り上げたのが「Sustainable eco Society(サステナブル・エコ・ソサエティ)」という、新しい消費の仕組みです。

 

新しい循環の仕組み、Sustainable eco Society

Web3や、ブロックチェーン(分散型の仕組み)についてご存知の方も多いと思いますが、これらの技術を使用した社会に訪れるのは、国連が示す「Profit and Prosperity(利益と全体の繁栄)」という、課題解決を先に考え、社会や地球というステークホルダーと共に発展を遂げていけるという概念をベースに置いた社会です。

ここで重要なのが、既述の通り、消費の仕組みを変えること。例えば、意識する・しないに関わらず、買い物をするだけで、その利益の一部があらゆるものに役立てられる仕組みがあれば、消費そのものが、社会の根底を支えることになります。

買い物という消費行動が、社会課題解決に繋がる。それが、「Sustainable eco Society」という仕組みです。エシカルオンラインマーケット 「tells market」をはじめ、実際に私たちが手掛けるオリジナルサービスではこの仕組みを搭載し、ユーザー(消費者)に還元されたポイントが失効すると、一般的には株主に回る分が、自動的に森林保全や、海洋生物の保全、文化伝統の保全などのために使われています。

買い物という消費行動を、社会課題解決に繋げる

(「Sustainable eco Society」では、サービスを使えば使うほど、消費者が無意識に持続可能な地球環境のために貢献できる仕組みを構築している)

 

意識させない、貢献のカタチ

重要なのは、消費者に意識させないこと。意識させ、押し付けると、人はそれを負担に感じ、嫌悪感を示すことがあります。そのため、無意識に参加させる仕組みが必要です。

アクティブな消費者であれば、1日1回は買い物をします。総務省の調べによると、2022年の15~64歳の人口は7,420万8千人。仮にその1割が毎日買い物をし、その一部が社会貢献に繋がれば、大きな一歩になります。

特に、この日本でなら、消費の仕組みを変えられる可能性が高くあり、その理由は、「ポイント制度(仮想通貨の仕組みとほぼ同じ)」にあります。日本はすでに世界の先進国の中で、一番うまくこのポイントの仕組みを使いこなしているからです。

 

日本だからこそ、実現できる

この新たな資本主義の仕組みを世界に向けて発信するにあたり、日本には大きなポテンシャルがあると思っています。

まず、経済大国のうちの一国でいまだあること。そして、アニミズムベースの考え方や精神性(自然や動物に感謝と畏敬の念を払い、共生し、隣人同士の繋がりを大切にする文化)があること。アニミズムベースの文化は、新たな資本主義社会を迎えるうえで非常に相性が良いのです。なぜなら、今、必要なのは、全体の繁栄を意識し、自然環境に配慮したビジネスだからです。

買い物という消費行動を、社会課題解決に繋げる

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そして、日本の最後のポテンシャルは、世界で唯一の被爆国であるということ。戦後、この小さな島国が僅か数十年で人口1億を突破し、世界経済の中心を担うまでに至った底力は、並大抵のものではありません。

そんな国だからこそ、二度と核兵器や生物兵器が使われることがないよう、互いを支え合い、その先の進化を目指し、国境を越え、個々人が豊かに才能を発揮できるよう、国単位ではなく、一個人として人類の歴史を新たに作り上げる世の中を目指すべきなのです。

 

消費が、世界を変える

消費者がカーボンニュートラルに貢献できるサービスを選ぶだけで、自身のその行動がポートフォリオとしてダッシュボード上で可視化されたなら。そしてその結果、例えば税金が安くなるような世の中になれば、犯罪が減ったり、より良い学校に行けるようになったりするなど、社会と個人とがwin-winな関係になれるはずです。

すでに中国ではこうした仕組みが取り入れられ、いわゆる「監視社会」と呼ばれていますが、国民を監視するのではなく、「見える化」として透明性高く、より自由に、人間としての活動の選択肢が広がっていくなら、先に述べたように自ずと犯罪も減り、他人に対して冷たく接したり、迷惑をかけたりする人も少なくなるでしょう。

買い物という消費行動を、社会課題解決に繋げる

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こうした世界では、5Gのテクノロジーを駆使することで実現できる「透明性(トランスペアレンシー)」、「追跡可能性(トレーサビリティ)」、「信頼性(トラスタビリティ)」が大きなキーワードになります。この3点を確保することで、真の民主主義国家が現れ、資本家が世界の消費の仕組みを動かしていた流れが一気に市民に委ねられることになるでしょう。

問いたいのは、人類は真にこうした社会を望むのかどうか。人間が試される時なのだと感じます。

麻場 俊行(株式会社Freewill FOUNDER & CEO)

株式会社福市 代表取締役
一般社団法人イノ15歳のとき単身で米国へ留学。19歳バックパッカーで45カ国を回る。24歳欧州で貿易業起業。北米、アジア、EUを中心に活動後、様々な業界を経験。日系、外資系でSE(システムエンジニア)を経験。ジャパンイニシアチブを生かしたサービスを提供する株式会社Freewillを19年1月設立。また同時に、クラウドファンディングや、グローバルECサービスなど4つのサービスを手掛ける。映像/動画制作、製作総指揮と監督、ストーリーを手掛ける一方、執筆分野では取材/編集長として活躍。また、Design makes everything different(デザインは世界を変える)というコンセプトから、デザイン構成の決定者として、アートディレクターも平行して務める。

 

 

 

買い物という消費行動を、社会課題解決に繋げる