斗々屋は、「日本初のゼロ・ウェイストなスーパーマーケット」として知られていることが多いですが、実際それはどんな場所なのか。ゴミが出ない買い物とはどういう体験なのか。なぜそこまでこだわるのか。ご紹介させてください。

斗々屋はもともと、2005年にヨーロッパのオーガニックの食材やワインなどを日本に輸入する会社として、立ち上がったのが原点です。代表の梅田は本事業を展開する中で、大自然で丁寧に作られている食材を、結局はゴミになってしまう個包装の袋などに詰めることに違和感を抱いていました。さらに、私生活ではフランスに住んでいたこともあり、地元のマルシェや専門店、量り売り店で買い物をすると捨てるものがほとんど出ないため、ゴミ出しが4ヶ月に一度の時もあったそうです。

その経験から斗々屋の卸事業においても、徐々に「量り売り」にシフトして、一つ一つを個包装するのではなく、大きい量をそのまま輸入するなどの工夫をはじめました。そうすることで、ゴミが減ること以外に、生産者の負担軽減にも繋がり、小さな良い循環が生まれました。

消費者へ、直接

日本でも、サステナブル、エシカル、エコという言葉が消費活動や日々の生活の中で語られることが増えてきた頃の2019年、東京・代々木公園の隣に、卸事業をしていた斗々屋が、日曜日のみの小さな量り売り店をオープンしました。30品目ほどの量り売りのモデルショップです。

このモデルショップでは、まず、量り売りの食材を買いに来たい人がいるか、実際お店をどのように運営するとスムーズか、などということを検証しました。

株式会社斗々屋

そこからスピードを増し、2021年1月には東京・国分寺に200品目の商品を、ゴミを出さずに持ち帰ることのできるゼロ・ウェイストショップをオープン。さらに同年の7月には、京都に日本初のゴミが出ないスーパーマーケットを開業。スーパーマーケットのビジネスプランは2017年にはすでにでき上がっていたものの、日本でのゼロ・ウェイストへの関心の高まりを見ていると、4年後でもちょうど良かったのかな、と感じています。

いずれも、使い捨ての個包装ではなく、お客様ご自身の容器またはレンタルの容器で食材を買う「量り売り」、または返却・返金が可能なデポジット容器に食材を詰めた瓶詰め商品などを販売しています。そのため、実質的にゴミが出ない買い物ができます。

昔ながらの量り売りを今の社会に合わせて、便利な形でお届けできるように、テクノロジーパートナーとして秤やレジシステムを手がけるグローバル企業の株式会社寺岡精工と一緒に作り上げています。例えば、容器の重さを毎回計らなくても機械が自動で計測してくれるRFIDシールであったり、買う商品の什器を触るとその商品の情報データが秤に自動的に伝達されたり、さらには野菜や果物を置くだけで種類を特定するAI秤など、世界的にも最先端な仕組みを導入しています。

株式会社斗々屋

ゼロ・ウェイストというキーワード以外に、斗々屋の商品選定にはオーガニック、フェアトレード、アニマル・ウェルフェア、美味しさ。この5つの軸があります。

3つ目の業態がスタート

2023年10月には、3店舗目がオープンしました。ゼロ・ウェイストショップ、ゼロ・ウェイストスーパーマーケットに続いては、駅などにある小売店キオスクからインスピレーションを受けて、「BIOSK by Totoya」というお店になっています。

日本では、コンビニが24時間開いていて、旅行先でお土産を買えば予備の紙袋も一緒に付いてきますし、スーパーマーケットではお惣菜や冷たい食材をポリ袋に包んで持ち帰ります。

使い捨てのゴミをたくさん出しながら提供される、良いサービスは、本当に「良い」ものなのでしょうか。

BIOSK by Totoyaには、忙しく都心で働いて暮らす人々に、自分にも、自然環境にも、ましては生産者にも優しい、エシカルな選択を気軽にできるようにという思いを込めています。

BIOSK by Totoyaではそのような思いから、自然栽培、オーガニック、無農薬のお野菜や果物、ヴィーガンマフィン、プロテインスコーン、自家製豆乳ヨーグルトなどに加え、日常的に使いたい調味料やおつまみまで、朝から晩までふらっと立ち寄れる、「利便性」と「環境配慮」を考えたお店にしていきたいと思っています。

株式会社斗々屋
株式会社斗々屋

斗々屋だけでは意味がない

小売事業を始めた当初からお伝えしていることは、斗々屋のお店が東京や京都などにポツポツとあっても意味がないことです。

私たちは、自社の直営店を増やすこともしていますが、誰もがゼロ・ウェイストや量り売りのお店をオープンできる仕組みにも力を入れています。オンライン講座「ゼロから始めるゼロ・ウェイストショップ開業講座」、それに加え店内研修や企業向けのコンサルティングも行なっております。

欧州では大手スーパーマーケットに大きな量り売りエリアがあることも多く、日本でも今後はそのような流れも期待しています。斗々屋の各業態のフランチャイズ化も含め、色々な形でこれからも循環型な社会に向けての小売事業を展開していきます。

株式会社斗々屋

株式会社斗々屋は、オーガニック食材やワイン、量り売り什器、エコ雑貨などの輸入、卸、小売をしています。
モデルショップとしてゴミを出さないビジネスを実践するとともに、持続可能な社会の実現に資する取り組みを多数手がけています。

 

株式会社斗々屋