これまでの活動を教えて下さい

大学時代に気候変動対策に興味を持ち、最初の仕事には、一番もっと知りたいと思った金融(銀行)を選びました。廃棄物処理発電所や風力発電所の建設資金をプロジェクトファイナンス(特定の新規事業を対象に、そのプロジェクトに属するキャッシュフローを裏づけとして資金調達を行う手法)で貸し出す仕事をした後、シンクタンクに転職しました。

シンクタンクでは、地域でエネルギーがどう使われているかといった調査や、風力発電所に個人が出資する事業の支援、企業による環境配慮や従業員の働きやすさなどの取り組み・実績調査、SDGsに貢献したいと考える企業や人向けのワークショップ支援を行ってきました。ワークショップでは、社会の変化を想像しながら、どんな製品・サービスを作りたいか、SDGs達成につなげるためには誰と協力しなければならないかなどを話し合います。顧客は一般企業や金融機関、省庁や自治体です。

ESG投資やESG調査という言葉は私が就職活動をしたときにはまだなかったので、「新しくできる仕事がある」ことを体感しました。また、個人のお金の使い方に着目して「個人版責任投資原則」を自ら提案したこともあります。

-誰でもつながっているESG投資を考える-

いま取り組んでいる・注力していることは

お金の流れは目に見えにくいものですが、誰がどんなふうにお金を投じる、または投じないという判断が、私たちの暮らしや社会、ひいては世界の環境や平和に影響を及ぼすと考えています。

ESG投資は、人や環境に関する幅広い課題と企業活動の関係を理解し、それをどう「よくして」いくのかという意思決定(組織統治)のあり方を、投資する立場から問うものです。

最近は、「SDGsのことはよく知っているけれどESGはそうでもない」、というような学生さんに向けてESGを説明するときには、国民年金保険料を通じて誰でも株式市場とつながっていることなどを例に挙げて、なるべくシンプルに伝えようと工夫しています。

個人で投資を始める時には、応援したいと思う企業のイメージを金融機関になるべく具体的に伝えてみると、相談に乗ってもらえると思います。私が具体的に聞いたことがあるだけでも、食品、医療、鉄道・インフラ、リモートワークなど、いろいろな切り口があります。

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今後の構想・取り組みたいこと・野望などは

いま一番関心を持っているのは、ビジネスがどのように子どもたちの生きていきやすい環境を作れるのかということと、日本で身近なところにある自然の恵みをもっと意識して、持続可能な方法で活かす産業や仕事を増やしていくにはどうしたらいいのかということです。

お金の使い道を決めるときに、子ども世代の声をしっかりと取り入れて、日本のさまざまな地域のよさを高めていくようなサービスを作れたら最高だと思います。

村上芽 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター エクスパート

専門分野はSDGs、サステブルファイナンス、子どもの参加論。著書『図解 SDGs入門』『少子化する世界』、共著『サステナビリティ人材育成の教科書』『サステナビリティ審査ハンドブック』『日経文庫 SDGs入門』など。内閣府「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」、金融庁「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会」、東京都環境審議会委員、大阪府SDGs有識者会議メンバーなど。

 

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