これまでの活動を教えて下さい

伊藤忠ファッションシステム株式会社は2020年から、繊維由来の環境課題への解決策として、オリジナルの繊維品質検査と認証、商品開発をおこなうプロジェクト『LESS MICRO PLASTIC(LMP)』を独自に立上げ、運営しております。

LMPでは2021年より、繊維由来のマイクロプラスチック排出量を削減し、海の環境保全に配慮した商品の展開もスタートしました。社会も巻き込んだムーブメントを通して、繊維産業の新たな未来に必要な商材の開発・普及をお手伝いしています。

繊維による汚染を減らし、海の豊かさと、持続性を守る。

マイクロプラスチックの問題とLMPのねらいとは

海洋プラスチックゴミは、2050年までに魚の量を上回ると予想されています。このプラスチックゴミは、太陽光を遮り海中の光合成を妨げるなど直接的な影響だけではなく、食物連鎖等により、人間を含む様々な生物の体内にまで蓄積されていくことが問題視されています。

繊維による汚染を減らし、海の豊かさと、持続性を守る。

なかでもこうした海洋汚染の原因物質として注目されているのが、マイクロプラスチック(5mm未満の微細なプラスチックごみ)です。

マイクロプラスチックの流出源のひとつは、服から落ちた繊維くずです。ポリエステルやナイロンなどのプラスチック繊維(合成繊維)で作られた服がご家庭などで洗濯をされると、下水で処理しきれなかった非常に小さな繊維くずやマイクロプラスチックは、そのまま川や海に流失してしまいます。

海中に存在するマイクロプラスチックの30%以上が繊維由来であると言われており、服が、気付かない間に海を汚染しています。

ご家庭での洗濯時は洗濯ネットを使用することで、マイクロプラスチックの流失防止にも繋がりますが、私たちは、この状況について繊維にかかわる全ての企業に責任があると考えます。繊維や、それがもたらす豊かな暮らしで海を汚すことがないよう、マイクロプラスチックの出にくい商品開発と利用拡大を推進することが、LMPの取組の目的です。

いま取り組んでいる・注力していることは

LMPでは、独自のマイクロプラスチック排出検査方法を開発(特許取得済)することにより、繊維から脱落するマイクロプラスチック量を可視化することが出来るようになりました。可視化に成功したことで、生地メーカー等と協力し、マイクロプラスチックの流出を従来比50%以下に抑える素材の共同開発をしています。

これまでもLMPでは、独自開発をした生地をスポーツブランド・アウトドアブランドの素材として採用いただいたほか、水に関係する企業のユニフォームへのLMP認証素材の導入といった形で、消費者のみなさんと関わってきました。ほかにも、自治体によるビーチクリーン活動への協賛など、さまざまな形でマイクロプラスチックの問題やLMPの活動を知っていただけるように活動しています。

繊維による汚染を減らし、海の豊かさと、持続性を守る。

毛羽と生地とのつながりを「締める」ことにより、毛羽落ちしづらい海洋環境にやさしい生地開発に成功

今後の構想・取り組みたいこと・野望などは

今後は、LMPの認証商品を日常生活の中で使用していただくことで、マイクロプラスチックという課題を知り、学んでいただくきっかけになったり、また、特に意識せずとも「使うだけ」で環境問題に直接貢献できるアクションとして、日常にLMPの認証商品が溶け込んでいくことを更なる目標にしています。

そのためにも、消費者と直接つながることを目的に小売店、水族館などと協力した商品開発や、売り上げの一部を寄付する協力体制の構築にも力を入れています。

例えば、LMPの認証素材でできたTシャツを着ている人から会話が生まれ、マイクロプラスチックの課題や危険性についてみなさんの知識や課題意識が広がり、排出を減らそうというムーブメントにつながるような未来をつくっていきたいと考えています。

伊藤忠ファッションシステム株式会社

伊藤忠ファッションシステム株式会社は、1971年に伊藤忠商事の100%子会社として設立された事業会社です。マーケティング、ライセンス事業、繊維の検査機関など幅広い業務を担っており、「未来価値を創造する総合コンサルティング会社」として、衣・食・住・遊・知といったライフスタイル全般に幅広く関わっています。

 

繊維による汚染を減らし、海の豊かさと、持続性を守る。