・日清紡テキスタイル株式会社・日清紡ホールディングス株式会社

消費者庁職員が徳島県にある日清紡テキスタイル株式会社※の吉野川事業所と日清紡ホールディングス株式会社の徳島事業所に行ってきました。
※日清紡テキスタイル株式会社は、日清紡ホールディングス株式会社の繊維事業を担う中核会社。
日清紡テキスタイル株式会社及び日清紡ホールディングス株式会社で行われている環境や人等に配慮したエシカルに関する事業について、消費者庁エシカル消費のキャラクター「エシカちゃん」とともに、実際の開発現場等の様子を紹介します。

消費者庁エシカル消費のキャラクター「エシカちゃん」

① 日清紡テキスタイル株式会社とは

日清紡テキスタイル株式会社は、次世代ノーアイロンシャツ「アポロコット」を始めとする環境・エネルギーに配慮した繊維製品の開発・販売に取り組んでいる企業で、大量生産・大量廃棄、エネルギー多消費型産業からの脱却を目指し、いかに繊維産業の環境負荷を軽減していくかを先導して取り組んでいます。

日清紡ホールディングス株式会社 村上雅洋社長

今回の視察では、日清紡ホールディングス株式会社の村上社長にも同行いただきましたが、「日清紡テキスタイル株式会社含め、日清紡が関わるすべての事業について「環境」を軸として活動しています!」と仰っていました。

② 「サステナブル繊維事業」について
~「環境」へ配慮した製品 ノーアイロンシャツを商品化~

生地加工の量産化技術や縫製ノウハウを確立し、2009年に洗ってもまったくシワが気にならない画期的な次世代ノーアイロンシャツ「アポロコット」を完成させました。元々はアイロンの手間を省く目的でしたが、アイロン掛け不要による電力の節約からCO2を削減 することができます。

アイロンがけという日々の生活で意識せずに排出しているCO2を削減できるノーアイロンシャツは、エシカルな商品ですね!

(出典)日清紡テキスタイル株式会社

~「シャツ再生プロジェクト」の立ち上げ~

綿製品の資源循環技術の確立により、廃棄物排出量の削減や再生利用を推進するため、「使用済シャツ」を「新しいシャツ」に生まれ変わらせる「シャツ再生プロジェクト」が始まりました。

(出典)日清紡テキスタイル株式会社

通常、繊維の再生では回収した衣類を無数の針でほぐし糸状に戻す方法が一般的ですが、その場合、シャツを作るための細い強い糸への再生は難しくなっています。 しかし、「シャツ再生プロジェクト」では、綿をイオン液体に溶解する方法を確立したことによって、回収したシャツから綿を取り出し、それを用いて新しいシャツをつくるシステムとなっています。

<「シャツ再生プロジェクト」のポイント>

  • 綿の循環を行うことで、大量の水を使用する綿花栽培を減らすことができる。
  • シャツの回収によってシャツの廃棄を抑制。
  • 常温でも液体で存在する「イオン液体」は安全性が高く、綿を溶かすことが可能となるため、環境への負荷が少なくなります。

着られなくなったシャツをごみとして廃棄するのではなく、回収し、新しいシャツに再生できるのは、とてもエシカルです!

<「シャツ再生プロジェクト」の工程の一部>

(イオン液体によって回収したシャツから綿を取り出し、紡糸する様子)

今後の課題としては、量産技術の確立や高価なイオン液体のコスト削減で、実用化に向けた研究開発を現在進めています。
また、2025年末までに、使用済みシャツの回収や再生シャツの販売方法など事業化に向けた課題を検討し、サーキュラーエコノミーモデルの実現を目指します。

みなさんが普段、服を購入するときに、その服がどんな素材でできているか、手放す際はどのような方法があるのか、ということまで考えるようになれば、着なくなった服を「ごみ」として廃棄するのではなく、「資源」としてリサイクルに出すことが当たり前になる未来になるかと思います!!

③ 日清紡ホールディングスの完全人工光型イチゴ植物工場事業

企業理念に「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」と掲げている日清紡ホールディングス株式会社では、徳島事業所にて完全人工光を用いたイチゴ植物工場事業を行っています。
当初は、閉鎖型植物工場でイチゴを栽培することは困難と言われていましたが、IoTやAI技術を活用、人工光(LED)と閉鎖型施設で日照時間と温湿度を制御、病害虫の侵入防止の工夫等を行い、新鮮で美味しいイチゴを通年栽培することに成功し、「あぽろべりー🄬」のブランド名で栽培・販売しています。
このイチゴ植物工場では、障がい者を含め多様な人びとと一緒に働く環境が整えられています。

(出典)日清紡ホールディングス株式会社

障がい者支援に繋がる商品という意味でもエシカルな商品ですね!

近年では、植物工場でのイチゴ栽培技術を各種事業者に提供する事業も手掛けています。一例として、日販グループホールディングス株式会社と、イチゴ栽培と収穫が体験できる小型設備を店舗やオフィスなど生活空間に向けて提供する新サービスCity Farming事業に取り組み、地域社会の交流に貢献する場所を創造していく空間作りをしています。 新サービスCity Farming事業は、店舗やオフィスへのショーケース型栽培装置常設による集客効果やコミュニケーションの活性化につながっています。

(出典)日販グループホールディングス株式会社

完全人工光型イチゴ植物工場で作られたイチゴを試食しましたが、みずみずしくて、とてもおいしかったです。
この植物工場の持続可能な農業システムで作られたイチゴは、 安心安全な食物を安定供給されていることで、一年中美味しくいただくことができます。
今後、イチゴ等を買う際に、旬な時期にも着目しつつ、旬ではない時期での販売の場合は、どうしてこの時期に販売できるのかな?と考え、商品の背景を調べてみるのもエシカル消費ですね!!

【視察を踏まえ、エシカル消費を行う上でのポイント】

今回視察した、吉野川事業所と徳島事業所の取組みについて、様々にエシカルなポイントがありました。
日清紡テキスタイル株式会社、日清紡ホールディングスは、SDGsの取組みにも着目している企業です。
SDGsに着目している製品を選ぶということは、自然とエシカル消費に繋がるので、 そういう観点での消費をしてみるのもよいですね!