#デジタル捺染機 #Monna Lisa #モナリザ #ファッション #エシカル消費
はじめに
ファッション産業がもたらす環境汚染や負荷は、世界的な課題です。水資源の大量使用や、大量生産された衣服の焼却処分によるCO2排出量の増加などがその要因とされ、国連貿易開発会議(UNCTAD)はファッション産業について、「世界で2番目に環境を汚染している産業」として警鐘を鳴らします。
国内のファッション供給量を基に算出した、衣服の原材料調達から製造段階までに消費する年間の水の総量は、約83億㎥(注1)に及びます。特にテキスタイル(布地)の染色工程においては、洗浄における水の大量使用や化学物質による汚染も深刻です。こうした現状にエプソン販売株式会社は、デジタル
捺染機 「Monna Lisa(モナリザ)」を開発。染色工程にデジタル捺染を取り入れることで水資源を守り環境負荷の低減に取り組んでいます。
(注1)
環境省「サステナブルファッション」hp
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
インクジェットデジタル捺染技術で省エネルギー・低コストを実現
染色工程における環境負荷を低減させるべくエプソン販売が提案するのがデジタル捺染機「Monna
Lisa」です。「捺染」とは、通常の染色工程のように布を染料に浸して染色するのではなく、糊と染料を使って直接布に模様を描く技法です。友禅染に代表されるこの染色方法は、世界的にも古くから使われてきました。エプソンのデジタル捺染機「Monna
Lisa」では、これまでエプソンが培ってきたプリントヘッドやインク、ソフトウェアといった技術を組み合わせることで、大型プリンターによるインクジェットを用いたデジタル捺染技術が確立しました。
主に以下の点から、デザインそのものの可能性を広げるとともに、従来の一般的な染色に比べ、水やエネルギー、原料を低減。大幅に環境負荷を抑制することで、サステナブルなファッションに貢献します。
■ 効率的な生産プロセス「Monna Lisa」
顔料インクによる、水の使用量を大幅に削減するサステナブルなプリントプロセス
エプソンのデジタル捺染機「Monna Lisa」が採用している「顔料インク」を使ったプリントは、特に欧州を中心にニーズが高まっています。最大の特長は、従来のアナログ方式の染料プリントと比較して、プリントプロセスにおける水の使用量を約96%(注2)削減できること。貴重な地球資源の保全に貢献します。また顔料インクはさまざまな素材の生地に対応し、染料インクでは難しい混紡生地へのプリントにも対応しています。
(注2) セイコーエプソンがフルハシ環境総合研究所に委託調査した「デジタル捺染の直接投入水量報告書(2024年1月)」における、アナログ染料プリントとMonna Lisa顔料プリントのプロセス比較より。「Virtual Personal Order」を大量生産・大量廃棄対策に役立てたい
衣料の大量生産・大量消費・大量廃棄にともなう環境汚染もファッション業界の大きな社会課題となっています。エプソン販売はこの課題に対して、「Monna Lisa」のプリント技術を生かした「Virtual Personal Order」の共創活動を推進しています。これは、一般消費者向けの小部数生産に特化した仕組みです。消費者は、プリント柄を含めた3Dのデータを参考に、お好みの柄やサイズを1点から選ぶことが可能です。選んだデータは2Dの型紙データに変換します。そのうえで、オンデマンドで生地に直接プリントし、着用することができる仕組みです。消費者の求めるデザイン・サイズ・数で生地へプリントするため、在庫廃棄やプリント時の水使用削減に貢献し、サステナブルな印奈プロセスを実現します。 (注3)
(注3)
引用:Next START「ファッション業界の課題を解決!Virtual Personal Order」
https://www.epson.jp/corporate/action1/inventoryreduction/
(2024年1月18日確認)
エプソン販売はエプソングループの日本国内におけるマーケティング活動および、お客様へのソリューション提案を行っています。2025年に向けた長期ビジョン「Epson 25 Renewed」では、「『省・小・精の技術』とデジタル技術で人・モノ・情報がつながる、持続可能でこころ豊かな社会を共創する」ことを目指し、「環境」「DX」「共創」をキーワードに掲げています。デジタル捺染もその一つで、欧州、米国、アジアといったグローバルに「Monna Lisa」シリーズを販売し、プリンターだけでなくソリューションを含めた開発を強化しています。
未来に開かれたお客様価値を創造する企業として、豊かな地域・環境のための共創活動、誰もが住みやすい社会づくりという、2つのコンセプトを軸に『サステナブルな社会』の実現を目指していきます。
(ご参考)エプソンの取り組む環境・共創活動