#サステナブルファッション #エシカルファッション
はじめに
「終わらない服を作る。」をモットーに、青山商事株式会社が推進する「WEAR SHiFT(ウエアシフト)」プロジェクトは、全国700超の店頭で不要となった衣類を回収し、リユース、リサイクルする取組です。回収した衣類はリサイクルウールとしてスーツやニットに生まれ変わるほか、単なるリユースやリサイクルにとどまらず、リサイクルした衣類の“その先”に可能性を見出し、社会的価値まで丁寧に掘り起こしている点に特徴があります。こうした視点は、自治体との協働にも広がっています。防災毛布として地域を守る資源へと再生されるだけでなく、生物多様性回復を目指した植樹活動にも結び付いています。お客様と共に、未来に向けて、限りある繊維資源をつなぐ取組を紹介します。
店頭で衣類を回収し、資源循環を実現。再利用率は99% ※
当社はアパレル業界における環境負荷軽減を目指した活動として「WEAR SHiFT(ウエアシフト)」プロジェクトを推進し、不要衣類の回収と資源循環の取組を行っています。
この取組は、1998年から始めた下取りサービスを進化させたものです。2023年10月より全国700以上の「洋服の青山」「スーツスクエア」の店舗内にリサイクリングBOXを設置し、当社商品に限らず、不要になった衣類をボックスに直接入れていただくことで、お客様がより気軽にエシカルな活動に参加できるようにしています。また、このリサイクリングBOX自体も環境に配慮した仕様で、古着や古布などの廃繊維のみを原料とするリサイクル素材(リフモボード)を採用しています。当社は国内大手の繊維リサイクル企業であるファイバーシーディーエム株式会社と業務提携しています。店頭で回収した衣類は同社の工場で選別し、リサイクル、リユースを通じた資源循環スキームを構築しており、2024年度の回収量※は約347トンに上り、その99%が再利用されています。 ※2024年度実績
店頭に設置されたリサイクリングBOXと回収した衣類を再生して作った「ウエアシフトスーツ」
2024年秋、ついに回収した不要衣類が原料であるリサイクルウール使用のスーツ「ウエアシフトスーツ」が誕生
2024年11月には、ついに回収したスーツから作製したリサイクルウールを取り入れた循環型スーツが誕生しました。ウールのリサイクルは、繊維の長さが短いため再生が難しいとされているほか、生産過程で手作業が多く、また均一な品質を保つことが困難なことから時間と手間がかかるとされています。そのような課題に対して今回は、緻密な設計と整理工程により改善を図り、肌触りの良いスーツを作製することができました。作製にあたっては、当社のリサイクリングボックスから回収したスーツを仕分け、紡績、仕上げまでを日本国内で一貫して行ったものを使用しています。また、ウール以外の素材も裏地やボタンなどにリサイクル素材を採用しており、環境に優しい循環型スーツとなっています。
「ウエアシフトスーツ」の生地は国内産。国内の店舗で不要衣類を回収、選別から紡績、仕上げまで生地作りのすべてを愛知県で一貫して行った
回収された衣類がどう社会に役立っているかまで伝え、広く消費者に理解を促したい
昨今、社会のエシカルな活動も広がり不要衣類の回収窓口も増加している中、当社が重要視しているのは、お客様にご協力いただき回収された衣類の“その先”を見える化することです。回収して終わりではなく、どのように役立てられているか知っていただくこともサステナブルな取組の大切な要素だと考えています。そのために当社では、不要衣類の回収を起点に大きく3つの取組を行っています。
1つ目に、先述したように回収した衣類から作製したリサイクルウールを使用し、スーツ、コートやニット製品などを商品化し店舗で販売、循環型リサイクルにチャレンジしています。
2つ目に、リサイクルウールを使用して防災毛布を作製し、地域の防災活動に役立てていただくために自治体に寄贈しています。寄贈先の選定には、過去に大きな災害の経験がある地域、物資が届きにくい離島や遠隔地、そして地域に洋服の青山があることを判断基準としています。これは、過去に経験した災害発生後の支援の難しさから、災害発生前に備えとして役立ててもらいたいという思いがあります。
「WEAR SHiFT」プロジェクトのスキーム
リサイクルウールを使用して作製された防災毛布
3つ目に、不要衣類の回収量に応じた一般社団法人more treesへの寄付を通して、高知県梼原町に「AOYAMAの森」をつくり、多様性のある森づくりに取り組んでいます。四万十川の源流域となる梼原町での森林保全活動を通して涵養機能の高い森林を再生し水資源の保全も目指しています。
これらの取組は全てお客様が不要になった衣類を店舗にお持ちいただくことが起点となっており、お客様と共に歩むエシカルな活動が資源循環や環境保全の取組につながる仕組みとなっています。
高知県梼原町に位置する「AOYAMAの森」
環境省主催「グッドライフアワード」で受賞。環境負荷の大きいアパレル産業としてこれからもエシカル消費に向き合い続けたい
「WEAR SHiFT」の取組は、1998年から衣類回収を行っている継続性と、全国47都道府県にある店舗から日本中のお客様が参加できるという点が評価され、2024年に環境省主催の第12回グッドライフアワードで「環境大臣賞 優秀賞」をいただくことができました。また、「WEAR SHiFT」の取組を店舗スタッフがお客様に直接ご案内することで賛同いただき、WEAR SHiFTスーツに興味をお持ちいただくことにもつながっています。
しかしながら、「洋服の青山」「スーツスクエア」がこのような取組をしているという認知は残念ながら高くないのが実状です。環境負荷への影響が大きいとされるアパレル産業の企業として、その責任の一端を担い、課題に真摯に向き合い、取組を継続していくこと、そしてより多くの方に知っていただきサステナブルファッションの面から、エシカル消費を広げていきたいと考えています。
私にとってのエシカル消費:「消費者の快適なビジネスライフを支えながら、環境と社会に配慮した選択肢を提供すること」
当社にとっての「エシカル消費」とは、経営理念である「持続的な成長をもとに、生活者への小売・サービスを通じてさらなる社会への貢献を目指す」の実現に向け、お客様の快適なビジネスライフを支えながら、環境と社会に配慮した選択肢を提供することだと考えています。今回紹介した「WEAR SHiFT」の取組のほか、商品の品質、機能性や耐久性の追求、環境負荷が少ない素材の採用、受注生産で必要な分だけ商品を作るオーダースーツの強化などに力を入れています。
「良いものを長く使う」「リサイクル素材のタグを見て選んでみる」「不要になった衣類は廃棄せず店舗に持って行ってみる」など、皆様の日常における小さいようで大きいエシカルな選択に貢献できるように取り組んでまいります。
青山商事株式会社は1964年の創業以来、業界初となる郊外立地の紳士服専門店「洋服の青山」を開店し、 “より良い物をより安く洋服の販売を通して社会に貢献する”という創業理念を受け継ぎながら2025年5月に創業60周年を迎えました。現在では「スーツスクエア」「AO+(アオヤマプラス)」といったファッション性、カジュアル性の打ち出しやデジタル技術を駆使した店舗なども展開し、幅広い世代、多様な価値観をお持ちのお客様に選択いただけるよう、事業を展開しています。