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はじめに
日本に古くから息づく伝統工芸品を暮らしに取り入れて長く大切に使うことは、作り手の技と文化を守り、長期間使うことで資源を大切にすることができるエシカルな消費行動です。大阪・堀江で「koji zakka & cafe welala(ウィララ)」を営む鈴木実麻さんは、京都の染物職人である父親が染めたまま工場に眠っていた反物をアップサイクルし、オリジナルの風呂敷として贈り物のラッピングに再活用する取組を始めました。廃棄するしかなかった素材に新たな価値を生み出し、環境にも人にもやさしい贈り方を提案するこの活動について、お話を伺いました。
京都の伝統的な発酵文化を次世代へ伝えたい
私が運営する「koji zakka & cafe welala(ウィララ)」(以下、welala)は、麹を中心とした京都の伝統的な発酵文化と、現代のライフスタイルを融合させたセレクトショップです。京都で生まれ育った私にとって、麹は暮らしの中でごく身近な存在でした。京料理の繊細な味わいを陰で支えてきた麹の奥深さに改めて向き合う中で、「日本の古き良き文化や知恵を、もっと多くの人へ、そして次世代へ伝えたい」という思いが強まり、welalaの立ち上げに至りました。店内では、麹などの発酵食品やオーガニック商品の販売を通じて健康的な暮らしを提案しながら、空間全体で「伝統×現代」の世界観を表現しています。
長年工場の隅に眠ったままの伝統工芸品を次世代につなぎたい
京都で染物職人をしていた父のもとに生まれ育った私は、幼い頃から職人の仕事に触れ、伝統産業である染物や反物そのものの美しさ、技の尊さを肌で感じてきました。一方で、長年工場の隅では余剰となり、眠ったままの反物が数多く存在している現実も目の当たりにしていました。「このまま埋もれてしまうのはもったいない」、そう強く感じるようになりました。
welalaリニューアル後、父親にお店に来てもらう機会がありました。その際にお店で使用している暖簾について父と話す中で、改めて反物のことを意識するようになりました。反物を別のかたちで生まれ変わらせ日常の中で活かすことで、廃棄という選択でなく、新たな価値を見いだし、お客様の暮らしに貢献できるのではないか。そこで今回の企画を思いつきました。
welalaでは現在、父が染めた反物をアップサイクルし、お客様のご希望に応じて「風呂敷ラッピング」サービスを行っています。ラッピングは有料ですが、甘酒や麹の調味料などの瓶詰めや箱詰めした商品まで幅広く対応しており、お客様からは「贈り物がより特別になる」「包装そのものが美しい」と大変好評です。
風呂敷はすべて一点もの。ラッピングをほどいた後は、風呂敷以外にもスカーフ、ランチクロスなどとして再利用できる
風呂敷に使っている反物はすべて、父の染工房に眠っていた在庫を活用しています。長年使われずにいた反物を、新たに染め直し、新しいかたちで再び活かすことで、廃棄を減らしながら、日本の伝統工芸の魅力を届けることができています。
サービスを展開する際は、ただ包装材として使うのではなく、一枚一枚の布に込められた「物語」を丁寧に伝えることを大切にしています。かつて京都の織物工場で生まれ、染物職人による手仕事で彩色された反物であること、美しい着物に使われようとしていたことなど、目の前にある風呂敷の背景をスタッフが説明すると、お客様の表情が一気に柔らかくなり、会話が生まれるのもこの取組の魅力のひとつです。
父親の染工房に眠っていた反物の在庫
“贈ること”が特別な思い出に。アップサイクルの可能性をさらに広げたい
風呂敷ラッピングを導入して以降、想像以上に多くのお客様に喜ばれています。特にギフト利用の際、「“包み”である風呂敷も贈れる」という点に共感してくださる方が多く、購入体験自体が特別な思い出になるといった声もいただいています。
今後は、ラッピングだけでなく、反物を活かしたコースターやエコバッグ、反物の切れ端を再利用したアクセサリーなど雑貨の商品化も構想しています。染物職人である父とのコラボレーションを軸に、伝統の技と現代の感性を掛け合わせた新しいプロダクトを生み出し、アップサイクルの可能性をさらに広げていきたいと考えています。
私にとってのエシカル消費:「自分らしいスタイルでエシカル消費を取り入れること」
私にとってエシカル消費とは、誰かの想いや背景に思いを馳せながらモノと向き合うことです。特別な知識や完璧なライフスタイルが必要なわけではありません。例えば、包み方を選ぶときに「長く使えるもの」「背景にストーリーがあるもの」を意識するだけでも、大きな一歩になると感じています。
伝統や自然、地域とのつながりを楽しみながら、自分らしいスタイルでエシカル消費を取り入れる人が増えていけば、未来はきっともっと豊かになると信じています。
株式会社best代表取締役。京都市出身。同志社大学法学部卒。染物職人の父のもとで伝統に触れながら育ち、製薬会社勤務を経て2018年に起業。大阪・堀江で「koji zakka & cafe welala」を運営し、発酵文化と伝統産業を現代のライフスタイルに融合させる活動を展開中。父親とのコラボレーションによる風呂敷アップサイクルなど、地域と文化を次世代へつなぐ取組に力を注いでいる。
koji zakka & cafe welala外観