#フェアトレード #福祉
#エシカルウエディング
#エシカルクリエイティブ
はじめに
結婚式は、家族や友人など大切な人へ感謝を伝える特別な日です。その日に選ぶギフトやアイテムに、贈る相手だけでなく社会や環境のことを少しだけ思いやる気持ちを込めると、そのやさしさは贈る人・受け取る人・そして作り手へと広がり、前向きな循環を生み出します。こうした考え方が「エシカルウエディング」です。今回は、この取組を発信するスタイリスト・石井なお子さんにお話を伺いました。
エシカル消費との出会いは母親からの投げかけ
見知らぬ場所の、“誰か”に起きていることを教えてくれた
私がエシカル消費に興味を持ち始めたきっかけは、母です。私が幼い頃から日々の生活の中でさりげなく話題にしていました。例えば、家の電気がつけっ放しになっていると、母は「たくさんの発電所を動かさなくちゃいけなくなるわね」とチェルノブイリ発電所事故のことや、食卓の時間には「世界には満足にご飯を食べられない子供達もいるのよ」、台風の日には「家のない人は今ごろ大変でしょうね」と話し、今この瞬間も戦争をしている国があること、親がいない子どもたちがいること、産まれた場所や肌の色だけで差別を受けている人々がいることなど、自分の知らないところで何が起きているのかを興味深く教えてくれました。
やがて成人し、スタイリストの仕事をする中で、ふと「私はこれから死ぬまでの間に何をしていたら幸せだろうか」と考え、社会的に立場の弱い人のためになることや地球環境を考えることにしました。長いことファッションやデザインの世界にいたので、それらを活かしてエシカルな活動ができたらいいなと思い、現在に至ります。
ウエディング業界の「もったいない」を解決したい!
エシカルウエディングを考えるきっかけになったのは、スタイリストの仕事でウエディング会場の広告撮影や雑誌のスタイリングを担当する機会があり、ウエディング業界の「もったいない」を知ってしまったことです。フードロスをはじめ、生花やキャンドルの廃棄、引き出物によるゴミ問題、その他にもウエディング業界の働き方問題に至るまでです。
まず自分にできることとして取り組んだのは、引き出物の箱を捨てずに、ティッシュボックスとしてリユースできるオリジナルの商品の開発や、引き出物商品の厳選とご提案です。オリジナル商品やフェアトレード、福祉施設などで生産されたエシカル商品は、すべて高いデザイン性を意識し、もらって嬉しいと思っていただけるよう努めています。
その後は、エシカルな取組を希望するウエディング会場へのエシカルなコンサルティング、エシカルウエディングのご提案、エシカルイベントのディレクションなどを手掛けています。
≪THINKSオリジナルの商品開発の例≫
引き出物の箱を捨てずに使い続けられるよう、ティッシュケースとして再利用できる形に仕立てたオリジナルギフトボックス。中身はオーガニックナッツを中心に、季節にあわせて福祉施設で丁寧につくられたお菓子などをセットにして、人にも優しい提案となっている
≪エシカルなコンサルティングの例≫
□テーブル装花
当たり前のことではありますが、できる限り会場装花をゲストにお持ち帰りいただけるような流れをつくる進行やディスプレイをご提案することがあります。フローリストと話し合い、オアシスを使わない投げ込みの飾りつけを行うことも素敵です。後述する古民家での結婚式のプロデュース事例では、結婚式の前日にフローリストと新郎新婦が村のお花を摘みに行くことからはじまり、完全な地産地消をご提案しています。
□サステナブルな体験をご両親へのギフトへ
間伐材の箸作り、産まれ育った土地の民芸品作りなど、新郎新婦が事前にサステナブルなモノづくり体験をし、それを当日ご両親などへのプレゼントとして渡すことで、多くの参列者に興味を持っていただけます。
□招待状
ペーパーフリーを意識して、WEB招待状(デジタル招待状)の活用をおすすめしますが、年配の方や上司にはバナナペーパーやリサイクルペーパーの招待状を送るなど、不便を感じることのないよう送り分けの配慮も含めご提案をします。
□サステナブルなドレス
昨今ではリサイクル素材や土に還る布地を使ったドレスが注目されており、デザイン性も高くなってきています。
山梨県小菅村の全面協力で実現したエシカルウエディング。村の伝統食を現代風にアレンジした料理や、村民と一緒に行うそば打ち・収穫体験ができる。受け継がれてきた地域文化を通じて、ここでしか過ごせない特別な時間を提供する
社会の変化を受け、高まる「エシカル」に対するニーズ
エシカルウエディングを提案し始めた頃より、世間の風潮やクライアントに変化がみられました。当初は細かな説明や説得を重ねてやっと「じゃあやってみようかな」という反応でしたが、今では「ぜひやりたいんです!どうしたらいいですか?」「今、できるところから始めています!」といった前向きな企業が増えたと思います。
それには地球温暖化や世界中の戦争のニュースを目にする機会が増えたこと、結婚式をはじめ多様性の尊重、働き方改革など、世の中が変わってきたからだと思っています。ただ、エシカルに関しての理解はあるものの、まだまだ浸透にはほど遠く、具体的にどうしたらいいのかというアイデアを出すには難しいようです。私たちは、個々の企業・個人にあったエシカルな取組のご提案を心がけており、何でもエシカルにするのではなく、『得意とすること』や『好きなこと』×『エシカル』が大切で、持続性があると考えています。
私にとってのエシカル消費:「無理なく楽しく取り組めること」
「エシカルウエディング」に限らず、エシカル消費全般に言えることは、無理なく楽しく取り組めることが大切と考えます。私なりに考える日常の中のエシカル消費をいくつか挙げてみたいと思います。
◇ いつも使っているもの、いつも買っているものを「環境に配慮しているものや社会的に弱い立場の人の役に立っているもの」に変えてみる。そのようなものを探してみる。
◇ 無理なく楽しく参加できるエシカルイベントを見つける。
◇ お友達へのプレゼントをエシカルな商品にする。
◇ 賞味期限が短くなっている(迫っている)食品を購入してすぐに消費する。
◇ 簡易包装の商品を選ぶ。また、簡易包装をお願いする。
◇ エシカルな活動をしている企業、エシカルな方法で製造している企業の商品を購入する。
◇ 生活している地域で製造生産している商品を購入する。
エシカル消費は、決して何かを“我慢すること”ではありません。日常にはささいなことでも、人や社会、環境にとってやさしい選択がたくさんあります。「社会のために」と身構えるのではなく、「おしゃれで素敵だから」という入口がたまたまエシカルだった、という社会になることが一番だと考えています。エシカルな工夫を取り入れた結婚式も、そんな選択の一つです。あなたらしい、「エシカル」を、ぜひ見つけてみてください。
ファッション界の登竜門「エスモードジャポン」に通いながら、スタイリスト森美幸氏に師事。独立後ファッション&インテリアスタイリストとして雑誌、広告などで活躍。ゼクシィなど有名会場のスタイリングも担当。1999年東京・恵比寿にセレクトショップnaughtyをオープンし、2016年には社会貢献をファッションやデザインと絡めて発信していく新たな取組であるTHINKSをスタート。2022年には法人化しさらに提案の幅を広げている。
石井なお子 スタイリスト THINKSファウンダー 株式会社THINKSTHINKS 取締役