#フェアトレード #障がい者支援 #通販
はじめに
障がい者福祉施設で生み出される商品を購入し、日常生活で使うことは、障がい者の工賃向上や社会参加を支える、エシカル消費(人・社会に配慮した消費)の重要な実践です。
大手通信販売会社の株式会社フェリシモでは、2003年から「C.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)」を展開し、福祉事業所、クリエイター、メーカー、NPO等と協働することで、障がい者の手仕事やアート作品の魅力を生かしながら商品として作り上げる仕組みを展開しています。これまでに120以上の福祉事業所と連携し、400種類以上の商品を開発しました。今回は同社に、障がい者支援とエシカル消費について伺いました。
手仕事の価値向上を起点に、障がい者自身と家族に寄り添うものづくり
株式会社フェリシモのC.C.Pは、2003年に発足した福祉との協働事業です。「障がいの有無にかかわらず、だれもがボーダーレスにつながる社会」を目指して、チャレンジドの個性や能力を価値とした商品開発を行っています。(※本プロジェクトでは障害のある方を「チャレンジド」というポジティブな呼称を使っています)
本プロジェクトの始まりは2003年、「チャレンジドを納税者に」をスローガンに活動する社会福祉法人プロップステーションとの出会いがきっかけでした。兵庫県下の福祉事業所の自主製品を公募することからスタートし、チャレンジドの手仕事の魅力を価値として、福祉事業所・クリエイター・メーカー・NPO等と協働して商品開発を行うことで、商品価値を上げ、多くの販売につなげる取組を続けました。
商品には「チャレンジド応援基金」が付帯し、チャレンジドのスキルアップや、障がいについての理解を深める活動を行う団体に拠出しています。消費者が商品を購入することで障がい者支援に参加できる仕組みになっています。直近では障がいのある赤ちゃんの出生前診断に必要な情報提供をするNPOなどにも拠出しています。
また、2019年からは「CCP x×ディック・ブルーナ バリアフリープロジェクト」をスタートしました。絵本作家ディック・ブルーナのシンプルでやさしい作品の世界観を生かし、視認性や分かりやすさに配慮したバリアフリー・ユニバーサルデザインの商品開発や啓発活動に取り組んでいます。福祉器具の展示会などにおいて、車いすを使われるお子さまとご家族から「かわいくておでかけが楽しくなる」と好評をいただいています。
「CCP×ディック・ブルーナ バリアフリープロジェクト」で開発した、車いすワッペンや障がい者手帳ケース、車いすにかけることのできるバッグ
チャレンジドの手仕事を商品の付加価値にした、ものづくりのプロセスも
福祉事業所との連携に関する概要図
障がいのある方たちの手仕事の商品が、手に取る人の心に響くのは、1点ずつ丁寧に作られていて全く同じものはないという点だと思います。その魅力を生かしながら、【デザイン性・品質を向上させるため、デザイナーやハンドメイド作家、メーカー等と協働で商品を作り上げる】仕組みを考えました。コンセプトは消費者の目線に立ち、暮らしに取り入れたくなること。その過程で、チャレンジドの手仕事の工程を設けています。例えば、工場でカットした革に手染めを施し、縫製工場で財布などの革小物に仕上げたり、チャレンジドが製作した手作りガラスを、アクセサリーメーカーがイヤリングにアレンジしたり。ほかにも刺しゅう、手織り、水引、マクラメ、布染め、陶器など、チャレンジドの手仕事を付加価値として、20年以上累計で計400種類以上商品を作ってきました。
関係各方面との連携を通じて、生産性の向上、品質向上を図る
〈生産面〉
大口の受注を受けても福祉事業所の負担にならないよう、キャパシティに合わせて複数の事業所に振り分けて依頼したり、予約販売で生産リードタイムを長くするなどの考慮をしました。
〈品質面〉
仕上がりのばらつきなど商品の個体差を売りにしつつも、品質基準に一定の許容範囲を設定し、事業所・工場・弊社で共有することでスムーズな取引を進めました。また、お客さまに仕上がりが少しずつ違う魅力を理解いただくようカタログ等に記載しています。
福祉事業所における作業風景
「CCP×福祉事業所メイド」による商品
作り手と使い手、双方に広がるプロジェクトの価値
プロジェクトについて、製作側と消費者側の双方で前向きな感想をいただいています。
〈福祉事業所からの反応〉
プロジェクトの仕事に挑戦していただくことで、事業所のスキルアップや工賃アップにつながっています。また、事業所で作った商品がフェリシモのカタログに載り、全国のお客さまの元へ届けられることに対して、喜びの声をいただくことが多いです。
〈消費者からの反応〉
カタログ、WEB、SNSなどで、チャレンジドによる手仕事の背景が伝わることで、お互いの距離が近くなり親しみを感じていただけています。
このほか、チャレンジドによるアート作品を使ったブランド「UNICOLART」では、障害のある人の表現活動を支援する、中間支援組織であるエイブルアート・カンパニーと共に、プランナーがアート作品をアイテムに合わせてアレンジすることで、新しい価値を生み出す取組をしています。
UNICOLART事業概要図
チャレンジドによるアート作品を使ったブランド「UNICOLART」による商品
また、2018年からは発達障がいのある子どもと家族の困りごとを解決する商品を当事者アンケートやモニターを重ねて開発する「LITALICO発達ナビ×C.C.P」プロジェクトを立ち上げました。発達障がいの当事者だけでなく、忘れものが多い方、整理整頓が苦手な方など、幅広いお客さまに便利に使っていただき、「暮らしがちょっと楽ちんになる」とお声をいただきました。
発達障がいのある方の暮らしをサポートする「LITALICO発達ナビ×C.C.P」により開発された商品
私にとってのエシカル消費:だれかの困りごとや願いに寄り添い、日々の選択を通じて社会を少しずつ良くしていく行動
本プロジェクトでは、バリアフリー視点のグッズ、福祉事業所の手仕事を取り入れた製品、障がいのある作家の表現を活かした企画、発達障がい者のお困りごとを解決する商品づくり、基金活動など、多様な個性が力になる仕組みを育んできました。
エシカル消費は特別な人だけの行動ではなく、だれもが今日から始められる小さくて優しい選択の積み重ねだと考えています。消費者の皆さまには、商品の背景にいる人を想像すること、違いを前向きに受け止めること、良い取組を周囲にシェアすることなど、日々の中で無理なく続けられる形で取り入れていただければと考えています。
企画会議の様子
C.C.P(チャレンジド・クリエイティブ・プロジェクト)は、福祉と企業の協業プロジェクト。チャレンジド(=障がいがある方)の持つ個性や能力を価値として、商品づくりを通してボーダーレスな社会の実現を目指します。