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株式会社ライフコーポレーション
サステナビリティ推進部 課長 小川 啓

はじめに

首都圏と近畿圏で300店を超えるスーパーマーケットを展開する「株式会社ライフコーポレーション」は、経営理念に「持続可能で豊かな社会の実現に貢献する」という言葉を掲げています。スーパーマーケットの立場から地域社会・環境問題を考え、「オーガニック・ローカル・ヘルシー・サステナブル」をコンセプトとした店舗やプライベートブランド(以下、PB)「BIO-RAL」(以下、ビオラル)の展開、食品残さを活用した「バイオガス発電」、小学校への環境に関する出前授業など、エシカル消費につながる様々な取組を積極的に実施してきました。同社サステナビリティ推進部の小川啓さんにお話を伺いました。

出発点は「持続可能で豊かな社会のために何ができるか?」

当社は経営理念に「持続可能」という言葉を掲げており、環境方針においても食品ロスや廃プラスチックの削減、CO2削減を明示しています。それに基づいて各部署が取組を考えるので、環境やエシカル消費に関係する施策が生まれやすい企業文化になっています。2016年からナチュラルスーパーマーケットとして、2020年からはPB商品として展開しているビオラルも、社内公募がきっかけでした。他にも、パイナップルの芯をアップサイクルしたドライフルーツの開発、店舗における食品ロスを減らすため、期限の短い商品を当日中にお客様とマッチングさせる「ステナス」の取組、食品残さからバイオガス発電を行う取組が自然発生的に生まれ、企業活動の一環として発展しています。

カットフルーツの製造工程で生じた残さはこれまで肥料や飼料にリサイクルしていた
カットフルーツの製造工程で生じた残さはこれまで肥料や飼料にリサイクルしていた
残さとなっていたパイナップルの芯をアップサイクルしたドライフルーツ商品
残さとなっていたパイナップルの芯をアップサイクルしたドライフルーツ商品
「ステナス」のキービジュアル。店舗ごとにその日取り扱っている商品は異なる。予めスマートフォン上で購入し、専用の冷蔵庫で受け取る仕組みとなっている
「ステナス」のキービジュアル。店舗ごとにその日取り扱っている商品は異なる。予めスマートフォン上で購入し、専用の冷蔵庫で受け取る仕組みとなっている
「ステナス」のキービジュアル。店舗ごとにその日取り扱っている商品は異なる。予めスマートフォン上で購入し、専用の冷蔵庫で受け取る仕組みとなっている

一石四鳥のメリットを生んだバイオガス発電

バイオガス発電は、2022年に大阪にある天保山プロセスセンターの敷地内でスタートしました。プロセスセンターはカットフルーツなど生鮮品の加工場です。以前から、ここで生じる食品残さの一部をリサイクル事業者に委託し、農業用の肥料や飼料にして再利用する取組がありました。近年、プロセスセンターの商品需要の高まりで食品残さの増加が課題となっていました。その課題を解決する取組として、食品残さからメタンガスを発生させ電気を発電するバイオガス発電を取り入れることになりました。天保山プロセスセンターの敷地内に、発電プラントを建設できるスペースが確保できたことも、導入を後押ししました。発電設備を一から整備し、現在では、年間70万kWhもの発電を実現しています。

一度に同一の素材を扱うプロセスセンターとバイオガス発電の組み合わせはメリットが大きいです。プロセスセンターでは一度に同一の食品、例えばキャベツの外葉や芯、パイナップルの皮など自然分解のできる残さが大量に出ます。一方、店舗で廃棄される食品は素材・形状・包装が多様で、竹串やビニールといった異物の分別を徹底することが難しく、発電に至るまで分別のコストがかかってしまいます。また、輸送コストの問題もあります。プロセスセンターとバイオガス発電を隣接させたことで、食品残さをゴミにしないだけでなく、ゴミ処理のコストも削減でき、さらには再生可能エネルギーの創出とそれに伴うCO2削減という“一石四鳥”の取組となりました。

2025年からは埼玉県にあるプロセスセンターでも同取組を始めました。今は、バイオガス発電後の残りかすの活用法も模索中です。この残りかすは、リンが豊富で肥料への転用が期待されます。

私たちが暮らす社会は、環境基盤の上に社会基盤があり、その上に経済基盤があります。この構造を前提とすると、企業は営利組織として利益を追求していきますが、環境や社会への配慮をおろそかにしては事業活動を継続できません。当社のバイオガス発電は、「経済価値」と「環境価値」を両立した好事例だと自負しています。

バイオガス発電設備。奥に見えるタンクが発酵槽
バイオガス発電設備。奥に見えるタンクが発酵槽
発酵槽の内部。微生物がメタン発酵を行うことでバイオガスが発生。そのガスを用いて発電する
発酵槽の内部。微生物がメタン発酵を行うことでバイオガスが発生。そのガスを用いて発電する

他社や地域との協力が不可欠

当社の環境やエシカル消費に関する数々の取組は、日頃から取引のあるメーカーや卸・商社の協力も大きいです。特に商社からは、メーカーの紹介や新しい技術、アイデアの提案などをいただいています。当社単独でできることには限りがあり、様々な関係者の力を借りながら一緒に取り組むことで効果が最大化されていきます。そのためには、目指す方向性への共感を生むために、エシカル消費全体に関する当社の考え・思い・方針をしっかり伝えることが重要だと考えています。

将来世代の消費行動の変容を願って

さらに、近隣小学校・保育園に対する出前授業にも力を入れています。子どもたちに向けてバランスの良い食事、特に野菜摂取を促す食育を実施していますが、近年は環境に関する出前授業のご依頼も増えています。小学校3年生と5年生の総合学習でご活用いただくことが多く、ライフのエプロンをつけて行くと子どもたちが「ライフの人だ!」と歓迎してくれます。リピートしてくださる保育園や小学校も多く、年間延べ200校ほど行っています。

店舗での親子参加型イベントにも力を入れています。イベント後、「この商品がいいよね!」とイベントで学んだことを早速活用して買い物をしてくださるご家族もいます。出前授業を含め、当社の環境に関する取組全般をお子さんたちが知ると、親御さんにも伝えてくれます。将来を担う世代が環境やエシカルのことを知ってくれることで、親世代をも巻き込んで消費行動が変容することを期待しています。

保育園及び小学校での出前授業の様子
保育園及び小学校での出前授業の様子
保育園及び小学校での出前授業の様子

世界を変えるにはまずは地域から

やはり食品スーパーマーケットは地域密着が大切です。そのために、地域の方々に向けた多彩な取組を重視しています。これからも、まずは店舗のある地域の方々に向けて、日々社会貢献活動や環境活動に取り組んでいきたいと考えています。

これまでお話した取組は、まだまだ消費者には浸透していないところが課題です。商品が製造される過程には、環境に配慮した様々な取組があることもぜひ知っていただきたいです。それをきっかけに当社の商品を買っていただくのはもちろんありがたいのですが、他企業の商品についても「少し値段は高いけれど、環境に配慮した取組をしている商品を買おう!」という消費行動につながっていくと、よりよい世の中になっていくと思います。

株式会社ライフコーポレーション

株式会社ライフコーポレーションは1910年の創業以来、人々の暮らしに寄り添い、地域の生活を支えるスーパーマーケット事業を展開してきました。1961年にスーパーマーケット1号店となる豊中店を開店し、現在は首都圏・近畿圏を中心に「ライフ」を展開しています。「人々の幸せな生活に貢献する」という理念のもと、日々の食卓を支える商品やサービスの充実に取り組むとともに、2016年には「オーガニック・ローカル・ヘルシー・サステナブル」をコンセプトとする「BIO-RAL(ビオラル)」を立ち上げるなど、健康や自然志向をはじめとする多様なニーズに応える事業を展開しています。

株式会社ライフコーポレーション