消費者庁サステナブルファッション・パートナーの剛力彩芽さん、蟹江教授(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)と一緒に、エシカルなお買いものを考えるとともにサステナブルなスーツについてお話を伺ってきました。東京都港区赤坂にあるオーダーメイドスーツのお店「サルバトーレ ソロンブリーノ」の環境に配慮した取組みについてご紹介します。
サルバトーレ ソロンブリーノはイタリア・クラシコ・スーツの神髄といわれ、優雅で洗練されたスタイル、パターン、素材の確かな選択眼、最高の技術を誇り、ハンドメイドスーツ制作の巨匠といわれています。「サルバトーレ ソロンブリーノ」を経営する株式会社ランドマークス代表取締役の江塚敏之さんに、オーダーメイドスーツのサステナブルな魅力を語っていただきました。
オーダーメイドスーツのサステナブルな魅力「直しながら長く着る」
オーダーメイドスーツの場合、やっぱり「自分の形」に合わせるというのもありますが、「 長く 着る」『何かあったら 直す 』というのが基本になります。新しいものをどんどん買うより、直しながら長く着ていただく方が我々も嬉しいのです。
「 長く 『何かあったら 直す 』というのが基本になります。新しいものをどんどん買うより、直しながら長く着ていただく方が我々も嬉しいのです。
ソロンブリーノでは、スーツやシャツを作るときに必ず出てしまう残布の生地を、10年後、20年先を考えて全て預かっています。 肘や袖などに穴が開いてしまったり、痛んでしまったりした場合には残布の生地を使って直していきます。生地が違うと色が違うので見た目も悪くなってしまうので、多めに取っておいてお直しすることで、着心地が良い状態で、傷んだところだけ新しくします。残布の生地で直すことによって長く着られることは、サステナブルですね。
お客様がたくさんオーダーメイドスーツを作ってくださいますので、そのときには以前作られたものとこれから作るものがうまく
コーディネートいくようにクロス・コーディネートを提案しています。シャツやコート、ネクタイも全て対応出来るようにすることで、今まで作られたものが全部使っていただけるようになるからです。
どうしても古くなってしまい、もう使えない場合には、同じものを作るようにして、なるべく全部が回るようにしています。
「再生ペットボトル素材」を使用した修理できるシャツ
ソロンブリーノでは、再生ペットボトル60%生地から出来たシャツもあります。日本のペットボトルは、みなさんが使用後にきちんと ラベルを剥がして、丁寧に洗われて回収BOXに出されているので、とても質が良いのです。伸びが良くスーツと同じようにちんと修理ができるので長く着られます。そういった点でもサステナブルですよね。化繊業界からは、日本のペットボトルの評判も良く、このような再生ペットボトル素材が使用されているシャツを作ることができるのです。
江塚代表が考えるサステナブルファッションとは
最近はトレンドを取り入れた服や靴などを、低価格で、短いサイクルで、大量生産・販売するファッションも増え、使い捨てが多く なっていることもありますが、多少高くても大切に長く使うことが出来れば、安くて1年で捨ててしまうよりも、総じて安くなります。そして更に次の世代まで引き継ぐことが出来たら更に安くなりますよね。
スーツではないのですが、イギリスのことわざで「私は安い靴を買うほど裕福じゃない」という言葉があります。つまり使い捨てではなく「少し高いけど長く使っていきますよ」「長く使えるモノを買いましょう」というような言葉もあるくらい、繰り返し使っていくことが大事なこととするイギリスの文化があるのです。イギリスのチャールズ国王も仕立てた洋服を何十年もメンテナンスしながら愛用しているという有名な話もあるのですが、雑誌に掲載されていた国王の写真をよく見てみたら、靴も継ぎ当てしてあり代々引き継がれていて、まさにサステナブルになっています。
きっとオーダーメイドで何度も修理されていると思うのですが、これがいわゆる「安い靴を買うほど裕福じゃない」であり、良いものを買って、長く大切使うことを表しているのです。
今回お伺いしたソロンブリーノ様のオーダーメイドスーツは、高価であっても大切に使い長く使うこと、そして次の世代まで使うストーリーを知り、とてもサステナブルだと感じました。服を選ぶ時には、価格やデザインに加え、コーディネートを上手に工夫したり、長く大切に着ることを考えられると良いですね!
ソロンブリーノ様の取組はエシカル消費特設サイトに 「サルバトーレ・ソロンブリーノ」 として動画でも紹介しています!